コーポレートガバナンスの課題
【2023年1月更新】 今回は「コーポレートガバナンス」について記事をおまとめしています。
まず、“コーポレートガバナンス”とは企業経営において不正行為を防止したり、 適正な事業活動を確保するよう監視・統制する仕組みのことを言います。これを強化するためにM&Aを活用することもあります。ちなみに日本では「企業統治」と訳されることが多いです。
この記事では、コーポレートガバナンスに関する課題として“役員報酬”についてと“組織設計”について説明していきます。
それでは早速ご紹介してまいります。
国内上場企業のコーポレートガバナンスの課題①~役員報酬編~
欧米などと比較すると、日本企業の「役員報酬」の金額が少ないと昔からよく聞きますが、そもそも「役員報酬」が適正な金額であったかは誰がどのような形で決めていくことがフェア・妥当なのでしょうか。
当該人物の「カリスマ性」なども同時によく取り沙汰され、その「カリスマ性」を発揮していくために、多額な「役員報酬」や「経営執行」を任せていくことが良いような風潮もあります。
しかし、現実には「役員報酬」の金額について虚偽の記載があったなど、会社の成績表「財務諸表」が記載される「有価証券報告書」に偽りをもって発表することができてしまいます。
上場と言う非常に厳しいルールを課した中でさえも、なぜこの様な企業不正が絶えないのでしょうか。
「株主総会決議」でこれを見ていると、毎期の上限が決定されており、「しっかりと決めているじゃないか」と見て取れますし、これを逸脱するような指示命令・指揮命令があたっとしても、権力者1名のみの関与で終わるはずがないのでは、と容易に想像が出来ます。
すなわち、経営者不正の厄介なところは「絶対権限者や大株主の存在」により、監査監督組織でさえも左右できる「絶対的権限者が存在する」ことで組織自体が“形骸化”してしまうことです。
「絶対的権力者の経営者から解雇や退任をさせられたらどうしよう」
「これだけの地位でいて急に解雇になるとそれなりの理由がいるが、次の転職も邪魔されるのではないか」
など社内の人間には心理的なプレッシャーがかかり、何も言えない状態になります。これがよく言われている“内部統制の限界”です。
また、「コーポレートガバナンスはしっかりとしている」と有価証券報告書には記載していても、ガバナンス不在に陥った事例はあります。
「絶対的な権力者を創らない、居たとしても長きに渡り同じ地位に就かせない」
「ガバナンスとして過半数以上を社外の役員で構成させる」
「報酬や指名と言ったことの権限と、組織上の経営執行とを分ける」
などにより、“権力をいかに分散させるか・権力を監督する機能を強化するか”のいずれかが必要であるということを示唆していると言えるでしょう。
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国内上場企業のコーポレートガバナンスの課題②~組織設計編~
日産・東芝・オリンパスなどの大手企業における不正問題について、記憶にある方も多いのではないでしょうか。
いずれの企業も「コーポレートガバナンス」「透明性を確保」「経営の監査・監督」といった言葉を明記していますが、結果としてはお粗末な話になっています。
かつ、どの事例も5-10年単位と長期にわたって生じているのです。
こうした背景に、“権限の集中”と“長期的な同一経営陣”の存在があることは挙げました。
結果としては、経営者不正によって、企業は抑止力を無くしてしまう傾向がある、ということが現時点の日本のガバナンスの限界だと思われます。
■防止策としての組織体制の変革
監査等委員会設置会社
指名委員会等設置会社
という、比較的新しい概念の組織体制が存在します。
簡単に言えば、自分自身の経営者としての行動を役員としての“指名権限、報酬決定権限、監査権限”を第三者に任せた上で経営をしていくことと、この3つの概念とを分けて、それぞれ牽制を効かせようという話です。
コーポレートガバナンスが効く状態である、と言われるこれらの制度の導入は年々増加しているというのが昨今の組織体制の変革の現状と言えます。
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次回予告
次回のまとめ記事は「過去の事例から学ぶ“失敗と懸念点”」をお届けします。
お楽しみに。
―次回更新予定:7月19日(月曜日)