「企業価値」について考える①
【2023年1月更新】今回は、企業価値について理解を深める記事をおまとめしています。(こちらのテーマは2回に分けて更新いたします。)
それでは早速ご紹介してまいります。
企業価値を理解する
中堅中小企業の企業価値とは、分かりやすく表現すると手元に残っていくお金の塊です。
プロジェクトなどの時間軸的なゴールが決まっている事例で考えると、ある投資があった場合に“その投資に対して幾ら回収できるのか”という見方と似ています。
【例】1,000万円の投資をして5年後には全体の収支でプラス250万円になる案件。
250万円×5年=1,250万円 合計:1,250万円
この場合、250万円の価値を生み出すことが出来たと言えます。
“プロジェクト総価値=1,250万円=キャッシュの塊=企業の価値”と読み替えられます。
企業であれば、5年で終わらず半永久的に継続していく前提となるため、それらの生み出す毎年のキャッシュの塊が一体いくらになりそうなのかが企業の価値になっていきます。
また、上記のように投資家が一人であれば、その価値は一人のものになるので“企業の価値=キャッシュの塊=株主の価値”と読み替えられます。
これに対して、「金融機関から500万円+株主1人から500万円=合計1,000万円」を会社が集めて投資をしたとしましょう。
この時、1,250万円から500万円を控除した750万円が株主に帰属する価値となります。
企業価値の計算式でよくある以下の式がまさにこれに当たります。
NPV(企業価値)-純有利子負債価値(金融機関の借入金)=株式価値
■「金融機関の借入金」も企業の価値を構成していること
■企業価値全体から有利子負債を控除し余った部分こそが「株式の価値」となり株主に帰属する価値であること
この2点を理解しておくことをおすすめします。
【この記事に関する詳しい解説記事はこちらです】
会社の適正価格を見極めよう!フェアバリューとは?
会社の適正価格「フェアバリュー」の見極め方について説明します。
■上場企業におけるフェアバリュー算出方法
上場企業の算出根拠として株式時価総額を使用することがあります。M&Aの場合、株式時価総額に売り手企業が考える企業のプレミアムを加える、または状況次第ではディスカウントが行われることとなります。
M&Aによって買い手企業が得られる将来的な相乗効果、いわゆるシナジーを見込んでフェアバリューを算出します。
ここでいう将来的な効果とは、以下の2つです。
①売り手企業の財務整理・オペレーションの効率化などの経営合理化を行うことによって得られる価値
②売り手企業のブランドや販売網・商品開発力などを活用して得られるシナジー効果の価値
■非上場企業におけるフェアバリュー算出方法
ー1. PERを用いた手法ー
当期純利益を使用して算出することができます。
また、その際には同じ業界の上場企業のPER(株価収益率)も参考値として使用します。
PERは、株式時価総額が当期純利益の何倍であるか、つまり、PERでその企業の将来的な価値が分かると言われています。
【例】PERが20倍の業界で、当期純利益が1000万円の非上場企業の価格
1000万円×20=2億円
上記の値に企業のプレミアムを加えた価格が最終的な企業価格となるのです。
ただし、上場企業とは違い、流通していない株式であると言うことを理由にディスカウントを実施することが一般的です。
ー2. 取引事例法ー
上記のようなPERを用いた方法を使うのも難しい場合は、取引事例法という方法で算出を行います。
取引事例法とは、対象となる企業と条件の似た案件の情報を収集し、それらの情報をもとにして価格を算出する方法です。
実際に行われた多くの取引事例をもとに価格を算出するため、市場を通じた価格形成が行われているとも言えますが、取引事例法を活用するためには多くの情報を収集し、データベースを作る必要があります。
個人でデータを収集するには限界があるため、M&Aアドバイザーなど専門家の力を借りることを検討してみてください。
【この記事に関する詳しい解説記事はこちらです】
次回予告
次回のまとめ記事は 「企業価値」について考える② をお届けします。
お楽しみに。
―次回更新予定:7月1日(木曜日)