シニア経営者の新たな挑戦、ベンチャーで働く新しいシニアの居場所とは
高齢化が進む日本において、少子化により労働力人口が減るとともに、元気な高齢者を労働力として活用することが注目を集めています。特に、経営者や管理職として働いたシニアの方々のノウハウや経験を、起業して間もないベンチャー企業や中小企業で役立てたいという声も多くあります。シニア経営者はリタイアされた後も、次は何をしようかと意欲的な方も多いのではないでしょうか?そこで、今回は、シニア経営者の新たな挑戦として、ベンチャーで働くシニアの活躍の場について、ご紹介します。
高まるシニア層の就業機会
高齢化の進む日本においては、少子化による労働力人口の減少と元気な高齢者が増加していることから、労働力の確保のために、国や企業双方で定年年齢の引き上げや定年後の再雇用などの取り組みが行われています。
また、国や企業の取り組みだけでなく、シニア労働者自身も引退後も働ける限りは働きたいと考える労働意欲の高い人が増えているようです。定年になっても年金の受給開始まで期間があいていたり、時間的にも肉体的にも余裕を感じることから、まだまだ働けると感じているシニア世代は多くなっています。
働くことは、社会とのつながりを持つことにもなります。定年後に家事や趣味に時間を費やしたとしても、社会とのつながりが疎遠になってしまいがちです。働く機会があれば、労働を通して社会とつながっていられるのです。
このように、社会の状況や労働者自身の意識の変化により、シニア層の就業機会は高まる傾向にあるのです。
ベンチャー企業や中小企業で求められるシニア人材
労働意欲の高いシニア人材に対して、ベンチャー企業や中小企業では、そのノウハウや経験を高く評価し、求めている傾向にあります。実際に、シニア専門人材紹介会社では、経営者としての経験や大手企業での管理職経験のある人材を、中小企業に紹介するケースが多くなっています。ベンチャー企業を始めとした中小企業には、人材や資金に限りがあるため、ノウハウや経験に乏しい状況にあります。シニア人材のノウハウや経験が、そのようなベンチャー企業や中小企業において必要とされているのです。
好かれるシニア①相手の目線で接することができる人
これまで説明したようにシニア人材への需要は高い状況です。しかし、いくらシニア人材への需要が高いと言っても、シニア人材の中でも「好まれる人材」と「嫌われる人材」に分かれるようです。シニア人材の中で嫌われるタイプの人材にまず見られるのは、「上から目線」という特徴です。
かつて所属していた企業における元経営者、元管理職の経験によりプライドが高くなってしまい、仕事を行うときに常に「上から目線」の口調になってしまう人は注意です。本人の自覚はないかもしれませんが、かつて自身が所属していた企業で行わなかった文書作成やコピー取りといった雑用も、人手の足りないベンチャー企業等では誰しも行わなければいけないものです。そのような雑用に対して、「上から目線」の人はプライドが高く、「元○○の私にそんな仕事をさせるのか」とか「それは私の仕事ではない」という言い分で作業を断ってしまうのです。会議の場でも「そんなことも知らないのか」といった上司風を吹かせてしまいます。
「上から目線」のシニア人材は、ベンチャー企業や中小企業に雇われたとしても、作業を依頼しにくく職場での評判が悪くなり、すぐに居場所がなくなってしまいます。ベンチャー企業等中小企業からも好かれるシニア人材は、「低姿勢」であるという特徴があります。雑用を頼まれた場合も進んで引き受け、仕事を他の人に頼む場合も低姿勢からの口調で依頼するといった態度になるのです。
ベンチャー企業等中小企業であれば、年下の社員が多いものです。時には自分の子供より年下の社員から仕事の指示を受けることもあるでしょう。好かれるシニア人材は、年下の社員であったとしても、年下だからという理由で「上から目線」で話すのではなく、年齢に関係なく相手の目線に合わせて接することができる人です。
ベンチャー企業に限らず新しい企業へと転職した場合は、かつての企業で培われたプライドを捨て、新しい企業に適合させるよう順応し、相手の目線に合わせるようになることも必要なのです。
好かれるシニア②現場に接しようとする姿勢のある人
好まれるシニア人材の2つ目の特徴は、「現場に接しようとする姿勢」を持つということです。これまで培ってきたノウハウ、経験を活用して、実際に顧客との交渉やチームのとりまとめなどにアドバイスを送ることが望まれます。経験の足りない現場の従業員に対して、経験豊富なシニア人材として現場で実際に行動を示してあげることが求められるのです。
クチで指示を出すだけでは人は動かないこともあります。そういうとき、実際に作業をやって見せると説得力をもって人を動かすことができるようになります。現場で実際に作業をやって見せることができるのは、シニア人材だからこその強みです。現場に接しようとする姿勢を持つシニア人材が必要とされています。
また、元経営者というキャリアのあるシニア人材が、ベンチャーなどの中小企業に採用されたとしても「名誉職」という立場ではありません。資金的に厳しいベンチャーなどは実務を行わない「名誉職」としての人材を確保する余裕はありません。どんな年齢であっても、実際に現場に出て自身で手足を動かして作業を行うことが望まれます。そのような、作業人員として現場に出ることが求められる状況であるため、シニア人材にはなおのこと現場に接する姿勢が必要なのです。
まとめ
いかがでしたか。近年は、少子化の影響により、有効求人倍率が高まり求人数は数多くあります。シニア人材を求める状況も同じく、活況となっています。しかし、求人が多いからと言って、どんな人材でもよいというわけではありません。受け入れる企業側にとって有益となる人材でなければ、新しい企業に入ったとしても長くは続けられないものです。これまでの長いキャリアで培った経験を有効に活用するためには、かつての働き方にとらわれず受け入れ先の企業に合わせて、自身を変えて行くことが必要でしょう。かつての働き方から変えられるかどうかが、ベンチャー等の中小企業でシニアが働く際に必要なことです。