大塚家具 ~大塚家の幕引き~
【大塚家具実質的支配を失う】
大塚家具の大塚久美子社長が、2020年12月1日に引責辞任をするとの発表がありました。
本メディアでも度々大塚家具の行方を追いかけましたが、山田傘下になった時点で終焉を見たと思い、当時の記事は書き起こしませんでした。
しかし、今回の社長辞任により、彼女が起こしてきた奇跡ならぬ軌跡・帰責について、振り返りますと、
・騒ぐだけ騒ぎ、一族の財産を棄損させただけ
という結末になったと思いました。
ヤマダ電機が51%株式を保有し、BSもPLも非常に傷んだ状態、この失地回復はならず、辞任していくこと、彼女自身はどうのように感じていらっしゃるのでしょうか。
【辞任理由】
2019 年 12 月の株式会社ヤマダホールディングス(旧社名 株式会社ヤマダ電機)との資本提携から本年 12 月に1年が経過するにあたり、株式会社ヤマダデンキの LABI および家電住まいる館での家具展開や当社店舗での家電展開など提携によるシナジーの実現に一定の進捗があったこと、また、今期は通期赤字を見込むものの、前期に比べて大幅な改善がみられ、来期の黒字化に向けて道筋がつきつつあることから、過去の業績についての責任を明確にする意味で、当社代表取締役社長の大塚久美子より 2020 年 12 月1日付で代表取締役社長および取締役を辞任したい旨の申し出があり、取締役会がこれを受理したものです。
株式会社ヤマダホールディングスとのより一層の連携強化により業績回復を加速化するため、代表取締役会長の三嶋恒夫が代表取締役社長を兼任することといたしました。
(2020年10月28日 株式会社大塚家具 代表取締役の異動に関するお知らせより抜粋 太字個所は弊社)
この理由を見て、納得がいっていないことがよくわかるのではないでしょうか。
報道上では、引責辞任で「自ら」とありますが、回復傾向にあるにもかかわらず、引責辞任をするというのはまったくもって理屈に合いません。
【想定の範囲内】
この布石は、ヤマダ電機による買収が完了した2019年12月30日には決定づけられていたものです。
もともとの大塚家具は、お家騒動でのイメージ悪化、ニトリの台頭で企業価値は徐々に既存誌はじめ、2016年以降は赤字が継続、2020年4月期(16カ月の変則決算)も売上高368億円(2018年12月期373億円)にとどまり、67億円の営業赤字となっていました。
このように棄損した中に、さらにハイライングループの増資などもあったのですが、到底キャッシュアウトに追い付かず、だったのですが、久美子社長は頑迷に自身の社長継続を主張した交渉をしていたとの報道でした。
この結果、ヤマダ電機が最後の救い手として名乗りを挙げたわけですが、ヤマダ電機の方が一枚も二枚も上手で、この交渉において社長継続の期間、いわゆる第三者割当増資を実施した結果として、契約書の中には
「一定期間社長」
「利益でいくらになるまで」
のような条項が入っていたのではないか、と推察されます。
当然その結果を出せず、さはさりながら穏便に、ということになりますとどうしても奥歯に物が挟まったような状態で、プレスリリースを出すに至ったのではないでしょうか。
【まとめ】
1代で築いた大塚家具の王国も、その子の世代に承継をしたことによって、ハチャメチャになってしまったことが、結果でした。
悲しい結果になってしまいましたが、事業承継については、大小問わず失敗、成功は常につきものです。
今回のことは他山の石とすべき一例であったと言えるでしょう。