M&Aの手法(ストラクチャー)紹介
【2023年1月更新】 現在、M&Aの事や弊社の事など幅広い情報をお届けしています「BIZVAL MEDIA」の記事も100件を超え、欲しい情報を探し出すこともなかなか難しくなってきています。
生かせる知識や役立つ情報の記事を1人でも多くの方に見ていただきたいとの思いから、過去の記事をキーワード別に整理し「まとめ記事」を作成することにいたしました。
皆さまの知りたい情報をすべての過去記事を見返さずとも簡単に探し出せるよう、数回に渡り更新していく予定です。
この機会にぜひ気になる記事を探し出し、お役立ていただけましたら幸いです。
早速ですが、今回はM&Aの手法・手段「ストラクチャー」についてご紹介してまいります。
現金をもらわない・払わないM&A
現金を使わないM&Aが可能であることをご存じでしょうか。
代わりに“株式”を使用するのです。
当然のことながら現金であるメリットもありますが、買い手側にとっても売り手側にとっても必ずしも現金である必要性がないケースも存在します。
数年前までこの手法にはいくつかの規制があり、現金対価以外のM&Aは実質的には難しい状況でした。
ですが、税制の一部改正により大きく事情が変化しました。
2018年7月9日より、会社法上の現物出資規制、有利発行規制等の適用を回避できる会社法の特例の適用要件が緩和、「対象会社の株主に対する課税繰延べに関する規律(特別事業再編計画)」が創設されたのです。
これを受けるにはいくつかの要件を満たし、認定される必要があります。
上記のように株と株の交換という形での環境が整備されたことにより、ベンチャー企業におけるM&Aも現在はより活発になっています。
【こちらに関する詳しい解説記事はこちらです】
事業の選択と集中で、M&Aによる事業譲渡という手段を活用
経営戦略において、事業目的を達するためまたは、一度分散し過ぎた経営資源を集中させるために事業の選択と集中をする場合があります。
こういった経営戦略をとる場合の選択肢としてM&Aによる「会社分割」や「事業譲渡」事業を売却することも可能です。
「事業譲渡」とは
M&A対象企業そのものを売却するのではなく、特定の事業やその一部に関係する資産・負債のみを譲渡する手法のことを言います。
事業譲渡の場合の譲渡価格は売却する対象事業の状態により異なりますが、一般的な企業の価値計算は、
①純資産(簿価又は時価)
②類似会社との比較
③将来価値からの計算
上記の3つです。
「会社分割」とは
会社分割とは、会社がその事業に関して保有する権利の全て、もしくは一部を他の会社に承継する取引手法のことを言います。2つ以上の会社に分割することも可能です。
事業譲渡と会社分割にはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、事前にしっかりと理解し選択する必要があります。
M&Aによる事業譲渡を検討している場合は、弁護士や会計士、自治体や商工会、M&Aアドバイザーに相談し適切な判断を仰ぎましょう。
M&Aの手法には、会社の経営権を譲渡する手法だけではなく、ご紹介させて頂きました通り“一部の事業だけを切り離し売却する「事業譲渡」や「会社分割」”も存在します。
どの事業を選択し何に集中するのかを整理したうえで、目標達成の為の経営戦略の1つとして一部のみの譲渡である「事業譲渡」も検討すべき手法の1つなのです。
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不況時におけるM&Aストラクチャー
不況時の例としてリーマンショック後を参考に、それに関連したM&Aストラクチャーについてご紹介いたします。
リーマンショック後のM&Aとしては、
「カーブアウト(切り出し)型のM&A」が多かったと言えます。
カーブアウトとは、「切り出す」「分割する」という意味の英語で、
M&Aにおいては子会社または事業の価値の評価が低い状態のときに、事業を切り出し社外の別組織として独立させることで、事業の価値を実現させることを意味しています。
カーブアウトの手法としては先ほどもご紹介しました
1.事業譲渡
2.会社分割
の2つの選択肢が存在します。
会社分割はさらに、「新設分割」と「吸収分割」というスキームに分かれ、それぞれが
・分割型分割
・分社型分割
という分割の対価を「誰に対して支払うのか」という点でも分岐します。
つまり、
・分社型新設分割
・分割型新設分割
・分社型吸収分割
・分割型吸収分割
上記の4つに区分されることになります。
対価を「もともとあった法人」に対して支払うのか「もともとあった法人の株主」に対して支払うのかによって分解されているのですが、会社法では特に規定されておらず、「スキームとして選択し得る」と言えます。
対価を“株主が受け取るのか”“法人が受け取るのか”によって、税金がどこにかかってくるのかが変わることも重要なポイントです。
上記のようなスキームを選択し、事業を切り出すことで不況時の資金を捻出することができ、既存の事業や中核事業に選択と集中を図るということになります。
【こちらに関する詳しい解説記事はこちらです】
その他関連記事
M&Aのストラクチャーにおいて「株式譲渡の実行パターン」についてご紹介した記事がございます。
①株式譲渡対価の分割払い
②株式の段階的な取得
③株式譲渡とアーンアウト条項
ぜひこちらも合わせてご覧下さいませ。
次回予告
次回のまとめ記事は「M&Aにまつわる疑問解消」についてご紹介したいと思います。
お楽しみに。
―次回更新予定:5月24日(月曜日)