日産・ルノーの提携の行く末
日産・ルノー提携解消か?
まずは、直近の状況です。
「日産、出資比率見直し論強まる=悲願の「不平等」解消へ」(12/1時事通信社記事より一部抜粋)
日産自動車は、企業連合を組む仏自動車大手ルノーとの間で、出資比率の見直しに向けた議論に着手したい意向だ。現在は、持ち株比率でルノーが優位に立っており、日産の自主性が脅かされる懸念がある。連合のリーダーだったカルロス・ゴーン容疑者の失脚を契機に、日産では長年の悲願である「不平等条約」の解消を求める声が強まっている。
以上
何が論点なのか?
ここにきて、日本政府とフランス政府との協議など、国家間の論点にもなってきていますが、
・ルノーは日産の株式を43.4%保有
・日産はルノーの株式を15%保有
しています。
ここで、国ごとの法整備の違いで、以下が論点になります。
【フランスの法律】
40%以上の出資を受ける子会社である日産は、親会社のルノー株式を保有していてもルノーの株主総会で議案の賛否を決める議決権を持つことができない
【日本の会社法】
日産がルノーの株式を追加取得して出資比率を25%以上保有すれば、ルノーは日産の株主総会での議決権がなくなる
そうです。
国の法律自体が「ねじれた構造」を解消するための論点として重要なものになっているのです。
これに対して、日産は今のところ「だんまり」ですが、過去から「不公正な支配を受けている」と感じている場面もあったようです。
また、ルノーの筆頭株主でもあるフランス政府としては
「権力分配は良好に思える」(ルメール経済・財務相)
などと発言しているとのことです。
今後、両政府の意向は日産・ルノーの関係見直しに影響を及ぼす可能性があることが示唆されます。
まとめ
直近ではフランス政府と日本政府との間での協議の場がもたれるなど、私企業の話題に国家が絡むという、個人的には「異常な事態」になっていると考えます。
資本業務提携当時は、窮境に陥っていたからこそ、資本傘下をしていたわけですし、カルロス・ゴーン氏の問題も、ことここに来て騒いでいますが、カリスマ性を崇めていたのは誰でもない、日本人だったのではないでしょうか。
資本の論理から言えば、「不公正な支配をされている」からと言って、いちいち国が出てきては、それこそ
「公正な資本市場が保たれない」
ことになるのではないか、と筆者は危惧します。