後継者不在で一時は廃業を検討も、M&Aでハッピーリタイアを実現
近年、後継者不在で悩んでいるオーナーは年々増加しています。ご相談を受ける中でも、このままでは廃業するしかないと考えがちな方を数多く見てきました。本当に選択肢は廃業しかないのでしょうか?事例を一つ紹介いたします。
後継者がいないと廃業するしかないのか
創業者が一代で築きあげた包装資材の製造会社の例です。販売先は県内の食品製造会社や引越業者を中心に関東全域まで及んでおり、経営基盤は安定していました。
しかしながら、オーナーが高齢で健康上の問題もあることからリタイアを考え始めた頃、親族内に後継者はいませんでした。このままではオーナー自身が働けなくなると、会社を廃業するしかなくなってしまいます。ただし、廃業してしまうと、長年協力してくれていた取引先だけでなく、共に働いてくれている社員を守ることもできません。
後継者はいないし廃業するしかないのかと半ば諦めかけていた時に、M&Aのことを知り、弊社へご相談がありました。最終的に、経営から身を引く際にはM&Aによる譲渡をしたいと決意されました。
すぐに買い手が見つかるのか?という不安があった
M&Aによる譲渡を決意されるも、すぐ買い手が見つかるのだろうかという不安があったそうです。現在、M&Aは売り手市場であるため、買い手は見つかります。ただし、オーナーの希望条件と合う良い買い手がすぐに見つかるのか、についてはオーナーとアドバイザーの力量によります。今回の事例の場合ですと、もうしばらく経営をされてから売却するとのことでしたので、すぐに良い買い手が見つかるよう、事前準備として出来る事をお伝えしました。
事前準備については別途お伝えいたしますが、高い企業価値ですぐに譲渡できるよう、経営を続けながら改善できることは多くあります。M&Aによる譲渡を既に希望されている場合は、早いうちから企業価値を向上させ譲渡できる体制にしておくことも、M&Aにおいて良い買い手に出会うためのコツです。
M&Aでハッピーリタイア!は本当だった
今回の事例で買い手候補にあがったのが引越関連材料全般を扱う企業でした。買い手側は、売り手が持つ既存取引先との取引拡大ができるという大きなメリットがありました。また、共通資材を扱っているため買い手企業の営業ノウハウで十分対応できるとわかりました。売り手であるオーナーは、M&A実行に至るまでの間、企業価値向上に向けて経営していたため、想定よりも高い譲渡価格でM&Aが成立しました。
オーナーは、取引先に迷惑もかけず、社員の雇用も守ることができ、ホッとされていたのが印象的でした。創業者利益も受け取り、現在では不安材料が無くなったためか、ますます元気になられ、海外で新たな人生をスタートされています。
おわりに
後継者不在で悩んでいるオーナーは、このままでは廃業するしかないと考えがちです。しかし廃業は、企業の社会的責任や取引先との信頼、社員の雇用など、全てを一瞬にして無にしてしまいます。後継者不在の場合、M&Aによる承継も検討に入れてみてはいかがでしょうか。