M&Aについての考察②
【2023年1月更新】 前回のまとめ
M&Aについての考察①では、M&Aにおける"Who"
ということで、M&Aの主体が誰なのか、法人ごとによって採るべきアクションが異なることについて言及しました。
※前回の記事はこちらです。
第2回は、M&Aにおける5W2H編で、WhatとHowについて説明したいと思います。
M&AにおけるWhatとHow
WhatはM&Aによってそもそも「何を取得するのか」ということになります。
法人自体の取得か、事業(時には資産のみということもあります)の取得なのか、でM&Aで採るべき選択肢・手法は異なります。
なお今回のWhoは株式会社を前提にしたいと思います。
・(吸収)合併と株式譲渡
M&Aはそもそも「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略です。
合併は、異なる2つ以上の法人が1つになることを指し、買収は株式会社の所有者である株主が交代することとイメージしてください。
M&Aについて、日本ではかなり中途半端な合併(対等合併という用語があるくらいです)が、旧来から数多く行われてきたため、「完全に手中に収める方法である」と言う理解がしにくいかもしれません。
買収手法と言うことで検討する場合、合併の中でも「吸収合併」が分かりやすいです。
合併比率という比率(例えば、消滅会社の株式1株に対して、合併会社の株式0.1株を発行するのであれば、1:0.1(要は消滅会社の価値は、合併会社の価値の10分の1ということになります。)等)を定め、合併する側、される側(消滅会社)を明確に決め、される側に対してする側から何らかの「対価」を渡すことで、1つの法人に他方を吸収していく方法です。
ここでいう「対価」は現金でも株式でも大丈夫です。
また、株式そのものを渡すということも買収になります。
いわゆる「株式譲渡」という方法です。
・第三者割当増資
その他に、今回では詳述しませんが、「第三者割当増資」という方法で、既存の株主に加えて、新規の株式を発行し、新たな株主が既存株主の持ち分比率よりも多く持つことで、経営権を実質的に交代していくことも可能です。
(ヤマダ電機の大塚家具買収 などは好例と言えます。2021年12月30日第三者割当増資の払込で、大塚家具の普通株式3,000万株(議決権割合51.74%)を取得、同社を子会社化。新株発行取得価額は43億7400万円(1株145.8円)、第3回新株予約権の発行による2億6,100万円、第3回新株予約権の行使による21億8,700万円、合計最大65億6,300万円の増資。)
ヤマダ電機のように、大塚家具の株式を「過半数(50.1%以上)」を超えていくようなケースを一般的に「支配関係」にある状態とみなされ、買収された、と定義されることが多いです。
一方、「株式譲渡」は既に発行された株式を売買するという、極めてシンプルな手法です。
最後に
M&Aが「合併と買収」ということで、それが具体的に何を指していくのか、簡単ではありますが、法人である株式会社を手中に収める、買収をしていくために、
・(吸収)合併による買収
・株式譲渡による買収
・第三者割当増資による買収
に触れてみました。
以下、おまとめした資料を添付しています。
ぜひご参考までにご覧下さいませ。
次回予告
次回は、Whatの中でも、会社丸ごとの買収ではなく、事業の買収といった側面から説明をしてみたいと思います。
お楽しみに。