M&Aによる事業承継①
今回は、昨今大いに話題になっている「事業承継」と言った日本企業の直面している課題に対し、M&Aを活用し解決を試みる場合、どのような会社は失敗しがちか、またはそもそもM&Aの活用に向いていないのか、についてお話をしてみたいと思います。
個人的には、一概にはこう言ったオーナーは、または企業は向いている、向いていない、とばっさりと瞬時に判断が出来るものではないと思います。
しかし、あえて傾向を挙げるとすると事業承継の課題を解決するのにあたり、M&Aの活用が向いていない企業の特徴を挙げることは出来ます。
特徴としては、大きく2つの傾向があります。
1.オーナーの存在が偉大過ぎる企業
企業価値の成り立ち、には企業である以上、組織の存在が大きくかかわってきます。創業者が偉大過ぎることで、組織的な機能が存在せず、何もかもがオーナー社長が居なければ決まらない(判断できない)、分からない、と言った企業の場合、事業承継といった課題の解決策として、全く異なる企業風土の企業が名乗りをあげたとて、大きく言えば風土なのですが、そもそも組織としての構築が急務となり、買収側からすると、下手をすると思っていたことと違っていた、というようなことにもなりかねません。
オーナーが偉大過ぎることの弊害、が事業の承継時には往々にして出てきてしまいます。どこの企業においても、偉大ではないオーナー創業者などはいらっしゃらないのですが、周りにどのような参謀が居て、またどんな組織構造で収益が成り立っているのか、は買収側がM&Aを検討する場合においては、逆にチェックポイントともなりますし、譲渡側においては、一定期間をかけて、組織を設計、運用することで、より譲渡価額が向上していくことなどが考えられるのです。
2.従業員が不在で、いわゆるほとんど一人でやってきた企業(個人事業主)
1の場合は、オーナーとその周りに、大げさに言ってしまうと「名ばかりの」組織が存在するケースですが、そもそも組織ではなく、1人でやってこられたような企業については、譲受側として、何を譲り受けるのか以前に、そもそも、企業の価値のほとんどすべてと言っても過言ではないくらい、オーナー経営者に企業価値が紐づいてしまっているため、譲り受ける対象がありません。
このため、M&Aをする対象として1人企業、または個人事業主のようなケースはやはり対象になりにくいものとなります。
まとめ
いかがでしたしょうか。
M&Aの和名は、「合併と買収」ですが、企業同士が融合する、または企業を買収した結果、傘下に収める、といった流れにおいて「組織構造」は、非常に重要な価値評価のポイントになってきます。
人事・組織については、デューデリジェンス(買収監査)を独立した単位で実施するケースもあるほど、重要性が高く、価値評価に影響を与えるものと考えられています。
まずはご自身の企業の価値をおさえたうえで、そもそも企業組織がどういったものであるのか、これを機に一度振り返ってみてはいかがでしょうか。